クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

(なによ、私だって、あなたのこと……少しはわかりたいって思っているのに)

昔から、レオンがなんとなく自分に好意を寄せているのではないかと思っていたが、どうしても素直になれずにずっとつんけんした態度をとってきた。

(いつまでも子どもっぽいことをしているのは自分でもわかっているけど……)

レオンとは同じ年で幼少の頃は剣も頭脳もレオンに勝っていたのに、成長とともにあっという間にその実力は追い越されてしまった。それが悔しくてソフィアはいつも優しくて微笑んでくれるジークに依存してしまったのだ。

(人の気も知らないで……レオンの馬鹿)

レオンは遊び好きで娼婦とも戯れる。ジークとは全然似ても似つかない。

それに比べて生真面目なジークは頭脳明晰で身体能力もずば抜けている憧れの存在だ。昔から兄のように慕っていたが、それが恋心なのかは自分でもわからない。ただ、誰にもジークを取られたくないだけ。

「もう行くわ」

ソフィアはくるりと踵を返す。

「ああ」

物憂げなソフィアの背中を、レオンはそれが見えなくなるまでいつまでも見続けていた――。