クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「私はここで失礼いたします。これ以上、立ち入ることを許されておりませんので……」

そういうと、ソフィアという女性のことを尋ねる前に、使用人は恭しく頭を下げて森の暗闇に消えて行った。すると。

「そこにいるんだろう? ここへ来い」

気配で誰がいるのかわかったのか、ジークにそう言われてアンナはそろそろと歩いて前に出た。

穏やかな水際に小波が打ち寄せ、辺り一面は静かで水音しか聞こえない。そして満月が海月のように青白く水面に揺らいでいる。

「こんばんは」

ジークの目の前まで寄る。彼の装いは夜の闇に紛れるように上下は黒の服で、アンナはその落ち着いた雰囲気が昼間の武装姿とはまた違った印象を覚えた。

「寒くはないか?」

優しい声音で気遣われ、アンナはふるふると首を振った。