クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

深紅のマントは国王である証。街人もそれを知らない人はいない。大通りを歩きながら護衛が数人同行しているが、庶民の街娘がなぜ国王と歩いているのかと、好奇な視線を向けられて、アンナは居た堪れずに終始俯いていた。そのとき、自分の履いている真新しい靴が目に入り、アンナはジークにまたお礼を言っていないことに気が付いた。

「あの、ジーク様。新しい靴をありがとうございました」

「城に仕えている者がみすぼらしいと様にならないからな」

ぶっきらぼうな口調の中に、どことなく照れ隠しのようなものを感じてアンナは思わずクスッと笑いそうになる。

「そういえば昼間だったか……お前、湖にいただろう?」

「な、なぜそれを?」