クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「すみません、なんだか残り物みたいになってしまいましたけど……」

アンナがバスケットを手渡すと、マーカスは顔に皺を寄せて微笑んだ。

「残り物だろうと、食べかけだろうと構わない。ありがとう」

マーカスの嬉しそうな顔を見てホッとしていると、ジークがマーカスの腕の傷をじっと怪訝に見つめていた。

「ご老人、その腕の傷は? 今しがたのものではないな」

「これは……」

マーカスが言い淀んでいるのに代わって、アンナは、なぜマーカスと顔見知りだったのかをジークにぽつぽつと語った――。