クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「お前がなぜ、こんなこところにいる? ここは治安のいい場所ではないと知っているだろう?」

ため息交じりにジークに言われ、アンナはバツが悪くなって俯いた。

「ジーク様……助けて頂いてありがとうございました。その……」

ここにいる理由を話そうと口を開きかけた時、マーカスがアンナを庇うようにジークの前に立った。

「わしが立場をわきまえずに誘ってしまったのです。申し訳ございません」

深々と頭を下げるマーカスの老体にアンナは手を添える。

「私が軽率な行動をしたのがいけないんです。マーカスさんは悪くありません」

厳しい視線を送るジークにアンナが許しを乞うように言うと、ジークは軽く首を振った。

「誰が悪いという話をしているのではない。大丈夫だったか?」

すると、ジークの目がふっと優しいものに変わりいつもの穏やかな瞳に戻る。

「……はい。サンドイッチ、一個食べられてしまいましたけど……他にはなにもされていません」

アンナは取り戻したバスケットの中身を確認すると、まだ手をつけていないサンドイッチは綺麗なままで無事だった。