クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「あ、マーカスさん!」

すばらくするとマーカスが片手を軽くあげてにこりと笑いながら現れた。

「やぁ、アンナ。待たせてしまったかな」

「いいえ、私もちょうど今来たところです」

アンナはマーカスのために作ったサンドイッチを早くお披露目したくてうずうずしていた。

「先日の傷の具合はどうですか?」

「ああ、たいしたことはない。こんな傷、すぐに治る。心配無用だ」

心配かけまいとマーカスはアンナに笑顔を向けた。

「ちゃんと消毒しないとだめですよ?」

「ああ、わかっているよ」

チラリと怪我をした腕を見ると、栄養が行き届いていないのか、傷は治るどころか化膿しているようにも見える。

(本当に大丈夫かしら? 心配だわ)

「アンナ、今日は私の家でお昼にしないか? 今にも雨が降りそうだ」

空を見上げると、先ほどよりもどんよりとした雲が立ち込めていてマーカスが言うように雨が降りそうだった。