クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

(はぁ、今度湖に行くときは晴れの日にしよう。結局、珍しい薬草を探す余裕もなかったし……意気地なしね)

そんなことを考えながら王都を歩いていると、待ち合わせの噴水広場までやって来た。今日は天気が思わしくないせいか、出店も人通りも少ない。噴水の囲いには誰も座っておらず、まだマーカスは来ていないようだった。

(喜んでくれるかしら、楽しみだわ。今日は特別にウィルさんからチキンをもらったから、前回よりきっと美味しいはずよ)

それにマーカスの身体を気遣って、滋養効果のあるタフヌスの実が入ったサンドイッチも作った。

アンナは先週と同じ場所に座り、膝の上にバスケットを載せ、サンドイッチを美味しそうに頬張るマーカスの顔を思いながら胸を弾ませていた。