「マーカスさんは……おひとりなんですか? その、ご家族は?」
尋ねてもいい質問か迷いながら、たどたどしくアンナが言うとマーカスはにこりとした。
「妻がいるよ。ここに、ほら」
するとマーカスは胸元に下げた銀製の首飾りを取り出した。表面には細かな彫刻が施され見た目も美しい。そしてマーカスは自慢げに開閉式の台座をパカッと開いて中を見せた。
「わぁ、綺麗な人ですね」
アンナが覗き込むと、そこにはにこりと微笑む髪の長い若い女性の写真が不器用に切り抜かれて貼り付けてあった。白黒写真のために髪の色や瞳の色はわからない。しかし、そんな色がなくとも彼女は美しく輝いていた。
銀製の装飾品は今でも高価な物だ。それをマーカスが持っていることが意外だった。
(もしかして、マーカスさん、昔は裕福な暮らしをしていたんじゃないかしら?)
銀製の品は売ればかなりの値になる。貧しい暮らしにもかかわらずそれを手放さずにいるということは、とても大切にしているという証拠だ。
尋ねてもいい質問か迷いながら、たどたどしくアンナが言うとマーカスはにこりとした。
「妻がいるよ。ここに、ほら」
するとマーカスは胸元に下げた銀製の首飾りを取り出した。表面には細かな彫刻が施され見た目も美しい。そしてマーカスは自慢げに開閉式の台座をパカッと開いて中を見せた。
「わぁ、綺麗な人ですね」
アンナが覗き込むと、そこにはにこりと微笑む髪の長い若い女性の写真が不器用に切り抜かれて貼り付けてあった。白黒写真のために髪の色や瞳の色はわからない。しかし、そんな色がなくとも彼女は美しく輝いていた。
銀製の装飾品は今でも高価な物だ。それをマーカスが持っていることが意外だった。
(もしかして、マーカスさん、昔は裕福な暮らしをしていたんじゃないかしら?)
銀製の品は売ればかなりの値になる。貧しい暮らしにもかかわらずそれを手放さずにいるということは、とても大切にしているという証拠だ。



