クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

平らになっている噴水の囲いに腰掛けると、心地いい霧状のしぶきを頬に感じてアンナは思い切り両手を天に向かって伸ばす。

(んー! さすがにお腹が空いたわね)

朝から何も口にしていなかったせいか、腹の虫が催促するようにぐぅぐぅと鳴っている。アンナはバスケットの中からサンドイッチを包んでいたハンカチを広げ、それをひとくち頬張ると、レオンのせいでモヤモヤさせられたことなどすぐに忘れることができた。

(美味しいっ! やっぱり、外で食べるサンドイッチは格別ね)

トマトとレタス、そしてハムやチーズを挟んだいつものサンドイッチだったが、食べる場所が変わるだけで味も変わるような気がして不思議だった。トルシアンで暮らしていたとき、よくミネアと昼食に作ったことを思い出す。

(ボブロおじさんやミネアおばさんは元気かしら……)

ランドルシアの調理場で仕事を初めてそろそろ一ヶ月になる。

手紙を書こうと思いつつもなかなか時間が取れなくて、いっそのこと今度の休みに様子を見に行くのもいいかもしれないと思っていると、けたたましい馬の嘶きがしてアンナはビクリと肩を跳ねさせた。

「おい、貴様! そこをどけ!」