クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「天気のいい日中は気持ちがいい場所なんだけどね、ときとき馬の水浴びに連れて行ったりするんだ。けど、日が暮れると薄気味悪くて誰も近づかない。まぁ、珍しい薬草がたくさん生息しているとかなんとか言って、昼夜問わずあの辺をうろついてるのは物好きな兄上だけかな」

珍しい薬草、聞いてアンナの耳がぴくりと反応する。

(どんなところかしら……行ってみたいわ。でも、幽霊が本当に出たら……)

恐怖と好奇心のはざまで気持ちが揺れ動いていると、レオンが思案顔のアンナを気遣うように明るく話題を変えた。

「そうだ! 君、料理が得意ならいつか僕専用になにか作ってくれる? そうだなぁ、肉料理がいいんだけど、約束ね」

「え、は、はい……」

王太子の依頼となれば断ることができなかった。アンナの返事を聞くとレオンは満足げにやんわりと微笑んだ。すると、ふとレオンの左中指にきらりと光るものが目に入り、アンナの視線が留まった。

(ジーク様と同じ指輪?)

それは金に輝き、見覚えのある印台の指輪だった。その視線に気づいたレオンが「ああ、これ?」と指輪に目を落とした。