今まで履いていた靴とは比べ物にならないくらいに履き心地がいい。アンナは部屋へ戻ると誰も見ていないことをいいことに、くるりと小躍りした。

(そうだわ、明日これを履いて王都へでかけよう)
明日は休日。ちょうど息抜きに王都にでも行こうかと考えていたところだった。

王都の中心地にはラメスの噴水広場があり、人が集まり花売りや出店が並んでいつも賑わっている。

(サンドイッチを作ってそこでお昼を取るのもいい気晴らしになるかもしれないわね)

きっと明日もいい天気だ。新しい靴を履いて、噴水広場でお昼にサンドイッチを食べる。そんな明日の予定にアンナはわくわくした。それに、ジークが靴のことまで気にかけてくれたことが嬉しくてたまらなかった。恐れ多い存在だと言うことはわかっているのに、身近に感じる彼を思うと、不思議と胸がドキドキと高鳴りを覚えずにはいられなかった。

(ジーク様……)

心の中でそっとその名前を呟いて、人知れずアンナは頬を染めたのだった――。