「まぁ……」

そこには上質の茶皮でできた靴がぴたりと揃って入っていた。丸いつま先は女性らしく、紐で調整できる高価なものだった。

「これをどうして国王様が?」

「さぁ、なぜでしょうね……申し訳ありませんが、私はただ渡すように言いつかっただけですので」

アンナの靴底が擦り切れていることを知っているのはジークだけだ。もしかして、それを気にかけて新しい靴を与えてくださったのかと、まさかの思いにアンナは恐れ多さを隠しきれなかった。さっそく履いてみると、一寸の狂いもなくぴったりだった。

(どうして私の靴の大きさがわかったのかしら? そういえば捻挫したときに靴を脱がされたわ……まさか、あれで寸法がわかったの?)

問題なく履けることがわかると、侍従は早々に寄宿舎を後にした。