桜庭くんも居るし、一緒に応援に行こう? と若菜に誘われて、断りきれずに今、私はここにいる。

 若菜と武田が一緒にいるのを見るのは、やっぱりまだ胸がチクチクするけど、サッカー部には桜庭くんも居るし、何とかなるかな……。

 あとは……実は少しだけ、桜庭くんに会いたかったりも……する、のだ。

 中間考査の試験期間、私は武田と電車をずらしたくて少し勉強して帰ることにしていたのだけど、桜庭くんはそれに毎日付き合ってくれて。 結局、テスト前の二週間は桜庭くんと毎日下校時刻近くまで勉強して居た。

 試験期間が終わったら、サッカー部は活動時間が延長されて、終わるのが遅くなった。だから、試験が終わってからは帰りは一緒に帰っていない。

 相変わらずノートは借りに来るから授業の合間に多少は話はするけれど、あんまり長々とは話せないし、周りに教室や廊下にはみんな居る。

 最近は貸したノートにちょっと桜庭くんが落書きして返してきたり、一言書いてあったりもして、次に貸す時に返事を書いておいたりもする。そんな、1日に一言二言増えるか増えないかのやり取りは、焦れったくて、擽ったくて……なんだか、余計に会いたくなる。

 詰まるところ、今まで放課後にあった2人で過ごす時間がすっぽり無くなってしまったから……少し寂しい。