スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】


 落ちる。

 そう思った。

 だって、立っていた場所は、階段のギリギリだった。あれ以上に押されたら、落ちるはず。

 落ちたら痛いかな? 多少は痛いよね。でも、死んじゃったりする高さじゃないし、大丈夫だよね? この階段、何段あるんだろう? 毎日使ってたのに、数えたことなんてなかったよ。

 ごめんね、桜庭くん。

 私ね、桜庭くんの事、友香さんから解放してあげたいって思ってたんだよ。

 これらの事柄が全て、身体が無意識の内に思っていた場所で足が床につかなかったことを察したその一瞬に、頭を巡った。

「とわ!!」

 桜庭くんの焦った表情も、友香さんを押しのけて伸ばしてくれた手も、見えた。

 手が届くかな?

 手を伸ばしたつもりだったけれど、桜庭くんの手とは触れなかった。

 落下感を感じる時間は、ほとんど無かった。後頭部に衝撃を感じるのが早かったから。

 次いで、肩にも背中にも腕にも、ぶつかった衝撃を感じる。痛みは、ほとんど感じなかった。階段を転がり落ちる衝撃が止むのと、意識が遠のくのと、どちらが早かったのかは覚えていない。