――午前10時50分。


私はバス停のベンチに座り、伊原くんが乗っているバスがくるのを待っていた。


ベンチに座って見える景色は、どこまでも続く田んぼと空。


人通りもない静かな日曜日。


これから乗ろうとしているバスは、休日の場合3時間に1本しかない。


伊原くんが乗っているバスは、11時にこのバス停に到着する予定だ。


さっき伊原くんから、バスに乗ったというメッセージが私のスマホに届いた。


私は、このバス停に30分前からいる。


伊原くんと出かけることが楽しみすぎて、早く来すぎてしまった。