けれど、音ちゃんの話から白石さんの行動を推測すると、いままで謎だった不審な点もすべて納得がいく。


まず、白石さんは、緑河くんが放送室に行ったあと、図書室にひとりきりになる。


クリスマス会の飾り、ウィンドウステッカーを窓の高いところにも貼ろうと、白石さんはイスを窓際に運んだ。


ウィンドウステッカーを貼るだけなら窓を開ける必要はない。


でも、ちょうどそのとき窓の外……上から大量の雪が降ってきたのを見て、白石さんは不思議に思って窓を開けた。


図書室の上は、屋上だ。


上から降ってきた大量の雪というのは、音ちゃんが柵をこえて屋上のふちに立ったときに落ちたもので、音ちゃんもそのとき下から窓が開いた音がしたと言っている。


図書室の窓を開けて、窓から顔を出して上を見た白石さんは、屋上のふちに立っている音ちゃんのことが見えたのかもしれない。


驚いた白石さんは、手に持っていたウィンドウステッカーを床に落とした。


すぐに図書室を出て、屋上に向かったはず。


あわてていたため、白石さんは開けた窓も閉めず、図書室のドアも閉めずに出ていった。


こう考えれば、緑河くんが放送室から戻ってきたときの状況になる。


白石さんは、図書室の窓から転落したわけではなさそう。


いまわかっていることは、緑河くんが図書室にいなかった20~30分のあいだに、白石さんは屋上にいたということだ。