「ハッ……先生……!!」


私は手に持っていた写真を後ろに隠す。


「どうした? 汐野。そんな驚いた顔して。何を持ってる?」


「いえ、あの……」


「何を隠した?」


「なんでもありません……」


逃げなきゃ。


ここから早く逃げなきゃ。


「なぁ、汐野。赤西のことは、ほっといてくれないか。赤西だっていろいろ探られると困ることになるんだよ」


手に持っているのが写真だってこと気づかれた?


「困るのは……黒河内先生のほうじゃないんですか?」


「やっぱり見つけたのか。手に持っているもの、僕によこしなさい」


私は首を横に振る。


「この写真、先生が撮ったんですか?」


先生は不気味に微笑む。


「汐野も撮ってあげるよ。このあとゆっくり」


「なっ……」


私はその場に座りこんでしまう。


体に力が入らない。


どうして?


逃げなきゃ。


怖い、怖いよ……。


黒河内先生が1歩ずつ近づいてくる。


逃げたいのに、動けない。


頭がボーッとして、目の前がぼやけてくる。


怖くてたまらない。


私……どうなっちゃうの……?