「双子のことがあるから頑張っていたんだろ?」

 急に核心をつく質問をさせて体を固くさせる。

 黙る澪の心を解すように谷は言葉を重ねた。

「何があっても俺は側にいる。
 だから聞かせてくれないか。」

 穏やかでどこまでも深い愛情のようなものを感じて彼の胸に飛び込みたい心持ちになった。

 でも、それは出来ない。

 こんな時に、ううん、こんな時だからこそ背中が疼くように痛くなって澪を冷静にさせた。

「側にいてくださると言うのなら今までと変わらず雇用主と社員という立場でお願いします。」

 小さく息を吸った谷に澪は続けた。

「惚れた腫れたで側にいると言ってくださるのは私を安心させる為かもしれませんが、私は職場の仲間という立場が一番安心できます。」

 頭をゆっくりと振って谷は澪へ質問を向けた。

「どうして?と、聞いてもいい?」