頬がくすぐったくて、薄く目を開けた。
 頬に触れていた指の主が囁くように言った。

「いつも眠りながら待つんだね。」

 目に映ったのは慈しむような眼差しを向ける谷。
 その美しい琥珀色の瞳を確認して小さくこぼした。

「良かった。
 まだ宝石は失くしてないみたい。」

 宝石で作られた童話の王子の瞳みたいに綺麗な彼の瞳を見つめて安心して再び目を閉じた。

 夢の淵で「今日はこのまま側にいてくれる?」と聞かれた気がした。