そんなのただ世界が違うだけだ。

 もしも澪が頭を下げたとして。
 自分に力を貸してくれる人なんて……。

 澪はこれ以上聞いていられなくて、自分の疑問を早く聞いてしまおうと口を開いた。

「夢の話はもういいですから次は私の質問にも答えてください。」

 誤魔化されないように谷の目を真っ直ぐに見据えて言った。

「あぁ。もちろん。」

 臆面もなく見つめ返してくる彼から目を離した方が負けだと思った。

「どうして結婚するつもりだと祖父に嘘を言ったんですか?」

 軽く息を吐いた谷の様子に馬鹿にされているような気分になって心がさざめく。

「昨日、帰り際に言ったこと分かってくれてなかったのかな。」

 帰り際に言ったこと……。
 家族に挨拶をしたいと言われ、結婚前提で付き合っていると宣言され………。

 何を分かれというのだろう。

 困った様子が伝わったのか、谷は正解らしきことを口にした。