「新しい機能が追加されたよ。
 今日の会議でまた相川さんの反応が見ものだって言われるね。」

 したり顔で言うのは森本茜。
 6つ上の先輩で姉御肌の森本には入社当初からずいぶんと可愛がってもらっている。

 スラッと背が高く長い髪がよく似合う美人さんだ。

 澪は頭を抱えてデスクに突っ伏する。

「あー。今日の会議、出たくない。」

「いい加減、スマホに変えればいいのに。
 それで我が社のアプリを入れなさいよ。
 それこそが愛社精神でしょうが。」

 森本はからかう為にわざとそんなことを言って面白がっているだけだ。
 その証拠に楽しそうに笑みを浮かべている。

 澪はいまどき珍しいガラケー。
 だからアプリは入れられない。

 モバイルヘルスケアを開発する会社に勤めている社員にとってはあるまじきことだ。