「澪へお母さんと会った方がいいんじゃない?と、言ったのは俺も両親とあまりいい思い出がないせいでもあるんだよ。」
「龍之介さん……。」
それは前にも親から愛情をかけてもらっていないと本人も言っていたし、彼といて確かに感じることだった。
澪を抱きしめて「お母さんの匂いってこんな風かな」って呟いた彼の淋しそうな横顔は忘れられない。
「だから、嬉しいんだ。
母親ではなく、おじいちゃんと小さな弟たちだけど、温かい家庭を体験できて毎日幸せを感じている。」
龍之介の優しい言葉に胸がいっぱいになる。
そんな風に思ってくれる彼だからこそ自分も一緒にいられるのだ。

