野獣は時に優しく牙を剥く


 今日は朝から大忙しだった。

「颯太と浩太。お弁当持った?」

「持ったー!」

「気をつけてね。
 先生の言うことよく聞くんだよ?」

「分かってるって。」

「澪姉は心配し過ぎ。」

 弟にまで窘められて閉口する。
 そんな澪の隣で龍之介はクスクスと笑った。

 龍之介の勧めで2人は春スキーのツアーに申し込んだのだ。
 子どもだけで行ける2泊3日。
 何から何まで我慢させずに双子にも好きなことをやらせてみては?と言われたのだ。

 龍之介が一緒に住んでくれるようになり、家計にもお金を入れてくれている。
 最初は遠慮していたのだが、住んでいるのに払わないのはおかしいと正論を言われてしまうと受け取らざるを得なかった。

 実際、とても助かっていてスキーに行かせてあげられる余裕も出来た。

 ちなみに喘息のことは相談済みで、もしもの時の為に2人は自分たちで吸引できるように練習までした。
 こうやって成長していくんだなぁ。と、なんだか双子が眩しかった。