「反対、されると思っていました。」

「龍之介が決めた相手だ。
 痣が無くても反対はしないよ。」

 目を丸くして「信頼……されてるんですね」と呟くと「龍之介には内緒だぞ」とウィンクされた。

「さぁ。龍之介へのお仕置きはこれくらいにして私に泣かされていると心配しているだろうから呼んで来なさい。
 私は帰る。後は若い2人で存分に料理を楽しんで。」

「でも、おじい様も一緒に……。」

 澪の言葉を聞いて獅子之介は目尻を下げて微笑んだ。

「まだ怖いじいさんでいないといけないからね。
 ひ孫でも拝める頃には正体を明かしてもよくなっていればいいのだが。」

 楽しそうに笑う獅子之介は背すじを伸ばして入ってきた時と変わらない厳格な祖父の顔になった。

「では、澪さん。結婚式でまた会おう。」

「はい。おじい様。」