その虎之介へ谷は静かに告げる。

「繁栄をもたらす印のことを部外者に話してはいけない。
 その決まりを破ればどうなるか……。」

 虎之介が表情を固くしたことから、酷い仕打ちが待っていることが窺えた。
 澪の側にいる萌菜も体を固くさせたのが分かった。

 谷は場にそぐわない大らかな声色で続けた。

「つまり、萌菜を部外者にしておかなければいい。
 虎之介。ちょうどお前、後継者だから結婚相手を見繕えと言われてただろう?」

「は?そ、それは……。」

「澪は俺が責任を持って部外者にはしない。
 だから萌菜のことは虎がなんとかしろよ。」

「兄さん……。」

 戸惑っている虎之介と、澪の側で安堵した表情を浮かべた萌菜が澪は印象的だった。