野獣は時に優しく牙を剥く


 しばらく沈黙が降りた後、谷は静かに話し出した。

「虎。そのことは部外者に口外してはいけない決まりだ。」

 部外者……。
 それは、、。

 虎之介は不敵に笑った。

「兄さんの隣に立っている奴には聞かせられないってこと?
 どうせ金目当てだろ?
 口止め料と手切れ金でも渡せば済む話だ。」

「虎!お前っ……。」

 今にも飛びかからんばかりの谷へ思わず手を伸ばした。

「た、谷さん。
 いいんです、いいですから。」

 腕をつかまれた谷は小さく息を吐いて、澪の頭を優しく撫でた。
 澪は涙が出そうだった。

「澪?いい加減、龍之介って呼んでよ。」

 この人はまだ自分へ優しさを向けてくれる。
 それだけで十分だった。