お風呂から出ると寝室へと案内された。
寝室を掃除するのは気が引けたけれど、何も見られて困るモノはないと言われた。
英気を養う為の寝室だからこそ綺麗にしてあげたい。
その思いから毎日のように入らせてもらい、必要とあらばその都度、掃除している。
部屋の隅々まで制限なしに澪へ掃除を頼む谷は想像していたよりも……というよりも全く女性の影を感じなかった。
谷くらいになればいくらでも外で、とも思ったが、谷が話してくれた内容の方がしっくりくる。
きっと彼は仕事第一なのだろう。
だからと言って。
いくら毎日自分が掃除していて、女性の影がないとしても。
泊まるとなると、どこに?どうやって?本当に泊まるの?と、不安が過ぎる。
ゲストルームのような部屋もあるけれど、泊まれるようなベッドや布団があるわけじゃない。
だから当然と言えば当然に案内されたのは谷の寝室だった。
「ここへ、泊まるのですか?
私はソファでも構いませんが……。」
控えめにお伺いを立てるとクスリと笑われた。
「それじゃ意味がないよ。
側にいて欲しいと言ったよね?」

