本気で行くからと宣言されてどうなることかと心配していた谷の行動は目立って何か変わることはなかった。

 家政婦役も相変わらず忙しい谷とマンションで顔を合わすことはなく、プライベートの谷とは会うことはなかった。

 ただ仕事で行動を共にすることが増えた。
 谷は前回の相川家の訪問でターゲットを年配に加えて子どもについても検討することにしたのだ。

 その為、仕事と称して自宅へ出向き祖父や双子に会う機会も増えた。

 しかし実際に仕事中には馴れ合うことはなく淡々と仕事を進めており、心配したようなアプローチはない。
 もちろんその方がいいに決まっているのに、澪は肩透かしにあった気分だった。