ショールームのような部屋に、落ち着かなかった。

藍原の仏頂面は相変わらずで、私は指示されるまま、お風呂を済ませ、食欲のない私に、スープを飲ませ、早々に、ベッドに入らされた。

「…部長」

寝室を出ていく藍原に、私は思わず声をかけた。

「どうした?」
「…部長はどこで寝るんですか?」

ベッドを取ってしまった。一人暮らしなのだから、寝るところはここだけだろう。

「俺の事は気にするな、どこでも寝られる」
「でも」

「渡辺」
「…はい」

「俺の気持ちは告げたはずたよな?」
「…」

藍原は、私の事が好きだと言った。

「一緒に居て、なにもしないなんて、言える自信はない」

そう言うと、困ったような顔をした。

「すみません」
「謝るな。とにかく今夜は早く寝ろ」

そう言うと、藍原は寝室を出ていった。