指輪は外されたのに、繋いだ手は、放されることはない。

私はずっと俯いたまま。

「いつまで俯いてるつもりだ?」
「…好奇の眼差しが痛いんです」

「イベントに参加することにしたのは誰だった?」
「…私です」

少しだけ顔をあげる。

「全然楽しくなかったのか?」
「楽しかった、です」

更にもう少し顔をあげる。

「俺といるのは嫌だった?」

その言葉に、バッと顔をあげて、藍原を見るなり、大きな声で言った。

「そんなわけないじゃないですか?!楽しかったし、嬉しかった。私は、藍原部長が大好きです」

パチパチ…

突然の拍手にハッとする。

公衆の面前で、告白してしまった。

藍原はニコリと微笑むと、私の頭を撫で撫でした。

「それならよかった」

私はやっぱりまた俯いて、藍原の腕にしがみついた。