夢見心地のまま、中に入り、アトラクションを堪能し、ランチを食べ、たまたまやっていたカップルイベントに参加することに。

小指と小指に指輪をはめさせられた。その指輪は細いチェーンで繋がっていて、イベントの企画の最後に外されることになっていた。

ドキドキが収まることはなく、私はチラチラと手元を見てしまう。

「さっきも繋いでたろ?」
「そうなんですけど、チェーンで繋がれてるのなんて、初めてで」

「…俺も初めてだけど?」

藍原の言葉に、ちょっと驚いて、でも、当たり前かと納得すると、おかしくなってきて、笑い始めると、藍原はその手を引いて企画に参加。

全て、二人でしないと、OKがでないという。

二人で一つのジュースを飲んだり、食べさせあったり。

お化け屋敷に入ったり。

このイベントは、どう見ても、若い子向けだ。

「…場違いだな」

藍原は困惑顔。

私だって、恥ずかしいけど、でも、楽しい。

「いいじゃないですか!楽しみましょう、ね?」

そう言えば、藍原は困ったような笑みを浮かべ、頷いた。

…でも。

最後の企画に、私はこれに参加したことに後悔する。

「やっぱり辞めませんか?」
「ここまで来てか?」

「だって」
「これしないと、指輪は外れない」

「…」
「楽しむんだろ?」

『最終企画彼女から、彼氏にアツーイキス』

指輪をしばし見つめ、私は顔を真っ赤にして、藍原を見た。が。

沢山の人の前だ。恥ずかしくて死にそう。

「…ったく。手の焼けるヤツだな」
「え、ぁ」

藍原から、アツーイキス。


しかも、舌まで入れられ。


放心状態の私。

「…ちょっと企画はずれましたが、アツーイキス成功です」

イベントスタッフは頬を染め、そう言うと、指輪ははずされた。