「渡辺?」
「そうじゃないんです。私はただ、藍原部長の仕事に、支障をきたしてしまわないかと心配なだけで」

「…渡辺」
「…はぃ」

「うちの会社は、別に社内恋愛禁止じゃないし、俺は何も困らない。むしろ、嬉しいが」

「…藍原部長」
「言ったよな?俺は渡辺の事が好きだよ。怒られても半べそかいてもめげない藍原が好きだよ。こうやって傍に居るようになって、益々渡辺への気持ちが大きくなった。コロコロ変わる渡辺の表情が可愛い。」

甘い甘い、愛の告白に、私は赤面する。

「俺に、渡辺を守らせてほしい。独りで何もかも抱え込むな」

「…私は、藍原部長の事はまだ、好きなのかよくわかりません。でも、傍にいると安心するんです」

「…あぁ、それでいい」

「藍原部長が笑ってくれると、私も嬉しくなります」

「お前が楽しそうにしてくれると俺も嬉しい」

「こんな私が傍にいてもいいんでしょうか?」

「勿論、むしろ、傍にいてくれる方が守ってやれる」

想われるって、こんなに幸せなことなんだと初めて知った。

「…勝手に帰ってきちゃってごめんなさい。ご心配おかけしました」

私は深々と頭を下げた。