パソコンの資格は取ったはずなのに、タイピングが苦手なのだ。

家に帰ってからも、タイピングの練習を一時間はしている。

それなのに、変換ミスしたり、打ち間違えていたり。

私は、パソコンにかじりつくように必死に修正をしていった。

やっと、全てを打ち終わり、最終確認をした私は、それをコピーし、藍原に見せた。

ハラハラしながら合否を待った。

「やれば出来るのにな」
「…すみません」

威圧のある言葉に、ただただ恐縮するしかない。

「お前は、タイピングの時に力みすぎだ」
「…ぇ」

「落ち着いて、ゆっくりやればミスは減る。慣れれば、自然と早くなるもんだ」
「…これからは、もっと気を付けます」

「…さっさと帰り支度しろ。帰るぞ」
「はい。遅くまでお付き合い頂きありがとうございました」

私はもう一礼すると、自分のデスクに戻り、後片付けをすると、鞄を持って、振り返った。

ギョッとした。


それは、何故かって?


ついさっきまで自分のデスクにいた筈の藍原が、私の目の前にいたから。


「…ぁの、藍原部長、どうしました?」

恐る恐る尋ねる。







「ゴメン、君への好きが止まらないだが」




突然の告白に、一瞬固まる。