6月1日、今日21歳になったルナは、逆に子どもに戻ったみたいにはしゃいでいる。



『本当はもっとかわいいのが着たいけど、あんまり目立たないようにしなくちゃ。』



「まあルナは何着てても目立つだろうけどね。」


ルナはスタイルも良ければ、はしゃぎ始めると声も身振り手振りも大きくなる。

立っても歩いても何かが決定的に普通の人と違うから、今日はもう、俺は身バレするの覚悟でいる。




というのも、情けないことにウィキペディアにルナの誕生日が今日だと教えられ、プレゼントはどうしようか、あわよくばデートに行く口実にできるだろうか、と家の近くのレストランで夕食を食べながらルナに探りを入れていた時のこと。



「ルナって絶対に遠足の前に熱出すタイプだよね。遊びに行く前日とか。」


『あー、私この間のBLUEのライブの日、熱出した!』


「マジか。来てたのはなんかネットで騒がれてたから知ってたけど。」


『だって楽しみになっちゃったんだ~。あんまり遊びに行ったりしたことなかったからさー』


「え、そうなの?遊園地とか好きそうなのに。」


『うん、遊園地行ったことないの。』


「え、うそだー」


『本当だよー!だからね、いつかディズニーランドに行くのが夢なの。ユキ君は行ったことある?』


「…そりゃああるよ。あー、でも大人になってからはシーばっかりだな。」


『へー、良いなぁ。そうか、シーにも行きたいな!やっぱり私、今度のオフにでも行ってみよう。』


「え、1人で?」


『だってお友達いないからね。』


「いや、1人で行って楽しい場所じゃないよ…」


『えー、じゃあユキ君一緒に行ってよ!』


「…奇跡的にオフが合えばね。」


『うわ、これ遠回しに断られてるよね?』




俺は、バレた?なんて笑いながら、もうこれは誕生日に連れて行くしかないと決めたのだ。