私の視界に飛び込んで来たその優しい微笑みは、案の定、思っていた人のものではなかった。 『…どうして、』 「言ったでしょ?」 一歩、また一歩と近付いて、彼は私の手をとった。 「ルナのためなら、いくらでもバカになれるって。」 触れ合った指先から、懐かしい温もりがジンと伝わって、一気に鼓動が早まるのが分かった。 『…バカ』 「うん」 『本当に、バカ』 「うん」 どうして… 『どうして今更、現れるのよ…』 もう、何もかも手遅れなのに。