私があの手紙を受け取った日の前日ーー 桐生くんは、奏多の病室に行った。 お願いがある、と奏多は言った。 『直接じゃなくてもいいから、真白にこれを渡してほしい。ぼくからの、最後の手紙』 『最後?』 『僕、もうすぐ死ぬんだってさ』 ひとごとみたいに言うから、なにかの冗談だと思った、と桐生くんは言った。 でも。 それから間もなく、奏多は本当に、死んでしまった。