と、そのとき、 「すみませんでした」 桐生くんが言って、深く頭を下げた。 「桐生くん……?」 私は驚いて、桐生くんの頭を見つめた。 「遅くなってしまったのは、僕の責任です。すみませんでした」 なんで桐生くんが謝るの? 全然、悪くなんかないのに。むしろ、私をここまで連れてきてくれたのに。 「部外者は黙って。ていうか邪魔だから帰って」 「お姉ちゃん!」 私は思わず声を荒げた。 真白、と桐生くんはなだめるように言って、 「じゃあ、失礼します」 ともう一度頭を下げて、去って行った。