慌てて病院に駆けつける頃には、もう外は真っ暗になっていた。

あまりに突然のことに、私は頭が真っ白になって、電話を切っても、ただ呆然と立ち尽くしていた。

ーーお母さんが、倒れた……?

『なんていう病院かわかる?』

『……坂上病院だって』

『いまから行こう。電車で行けばすぐだ』

あの病院だ、とわかった。

前に桐生くんが話してくれた、学校の近くの病院。

電車に乗っている間、悪いことばかり考えてしまって、気が気じゃなかった。

不安で震える私の手を、桐生くんがずっと固く握り締めてくれていた。

あたたかかった。その手に触れていれば、波打つ心が、ほんの少し落ち着く気がした。

君がそばにいてくれたから、私は立っていられたんだ。