* 「ひゃーーっ」 ドタン、と地面に尻もちをついた。 そんな私を見て、あはは、と笑う桐生くん。 「ほら、つかまって」 「あ、ありがとう……」 私は手袋ごしのその手をとって、なんとか立ち上がった。 「うう、スケート難しい……」 私は壁にもたれかかりながらぼやいた。 これで転んだの何回めだろう。体を預けられるところがあるってありがたいなあ、と壁に感謝したくなる。 どうしてみんな、こんなに不安定なバランスで、立つどころか、スイスイ滑れているのか、不思議でしょうがない。