「……なによ?」
さも可笑しそうに笑う彼に、少し眉を寄せながら問う。
私、笑われるようなことしたっけ。
「お前、全く気がついてないだろ」
「だから何をよ?
あ、もしかしてその子、私の知ってる子?」
誰、誰~、と、彼の脇腹を肘でつつく。
ニヤニヤ。滅多にない機会だ、からかおう。
「ああ、よく知ってる子だよ。」
「へぇ。
んー、雪は彼氏いるし、尚子は接点がないよね。
あっ、総務の柏木由真?
違う?……受付の丸本先輩?」
思い付く名前を挙げていく。
全部違うって、会社関係で仲良くしてるの、このくらいなんだけど。
他に誰がいたっけ?
真剣に悩む私に、彼は意地悪な顔をして爆弾を落とす。
「お前、『自分かも』って思わないわけ?」