初めての経験だった。
楽しみがあると頑張れるって
言葉はよく耳にするけれど
経験した事はなかった。

でも私がいくら頑張ったって
現実はそう甘くはない。

美姫「光海さん。今日も残業
お願いしてもいいかな?」

光海「...うん。」

他人の仕事も私の仕事。
ここで美姫さんの申し出を
断れば明日からの私の
立ち位置はなくなってしまう。
現実は上手い事出来ているんだ。

目立つ人間、可愛がられる人間
容姿のいい人間、好かれる人間は
当たり前のように誰もが
微笑み助け、守ってくれる。
だけど、目立たない人間
可愛げのない人間、地味な人間
好かれない人間には
当たり前のように誰もが罵倒し
助けず、守ってくれない。

私は後者だから、もちろん
誰も守ってくれない。
私の残業時間が例え所定を
超えていたとしても
見て見ぬ振りをし、一言の
言葉で片付ける。
光海さんは真面目だねって。