喜んでくれたことがとても嬉しい。

だけど

「透さんのお家にもご挨拶に行かないと…私、神崎の家に何もメリットにならない普通の家に生まれたけど、挨拶だけはちゃんとしたい」

「挨拶なんていらない」

キッパリと否定され、壁を作られていた。

「愛梨のご両親の予定を聞いておいて…シャワーしてくる」

そう言って、この話は終わらされてしまった。

透さんのお母さんとお父さんは、正式な夫婦ではなかったとはいえ、彼は神崎家の息子だ。

また、上条さんの時のように、彼を利用しようとするかもしれない。

だから、認めてもらえなくても、彼を幸せにしたいと伝え、もう、彼を利用してほしくないと伝えたいだけなのだ。

だが、彼の中で神崎のお父さんとわだかまりがあり、親子関係は良好ではないらしいと思うと、先に自分の両親に電話をかけた。

電話を向こうの母親は、驚き喜んでくれた。父は、まぁ、娘を持つ親として、同棲も面白くないのに、子供もでき、拗ねてしまったらしい。

電話を切った後、すぐに彼はシャワーから出てきて冷蔵庫を開けると、缶ビールを開けていた。

「うちはいつでも大丈夫だって」

「そうか…なら、明日、早速伺うから伝えておいて」