【4月17日(土)】
朝、横で寝ていた圭さんが私の身体が熱いことに気付いてくれた。「熱があるんじゃないか」と言われて、体温を計ったら38℃もある。常備してある解熱薬を飲ませてくれる。そういえば、いつもなら圭さんとお話しするんだけど、昨晩布団の中に入れてもらったときは、身体がだるくてすぐに眠ってしまった。新学期の疲れが出たのかもしれない。今日は土曜日で明日も学校は休みだから良かった。

圭さんはこの2日間は自分が家事するから寝ていなさいといってくれた。いろいろなことがあったので疲れが溜まっているのかもしれないので、そうさせてもらうと素直に聞き入れた。叔母さんの家では、体調が悪い時も家事をしなればならなかったので辛かったから、ありがたいと圭さんにいった。圭さんは黙って頷いていた。

それから近くの医院へ連れて行ってくれた。風邪の診断で風邪薬を処方してもらった。幸い私は2日間の休養で元気を取り戻した。土曜日の晩に再び37℃の熱が出たけど、日曜の夜には熱が出ることもなく回復した。圭さんがそばにいてくれるので安心して休養できた。本当にありがとう。頼りになる人だ。

【4月20日(火)】
朝、圭さんが身体がだるくて熱っぽいというので、体温を計ったら39℃の熱があった。急ぎの仕事もないので今日は休暇を貰うといった。私が風邪をうつしてしまった、本当にごめんなさい、と何度も謝った。今日は学校を休んで看病すると言ったけど、大丈夫だからといって聞き入れてくれない。しかたがないので、お昼用のお弁当を作って登校した。圭さんは9時少し前に会社に電話を入れてから、近所の内科へ行って診てもらったとのことで、やはり風邪の診断で風邪薬を処方してもらっていた。3時過ぎに帰宅すると圭さんは眠っていた。

お昼のお弁当は食べてあった。私に気が付くと「大丈夫だよ」と言ってまた眠った。そして夕食を食べてからまた眠った。疲れているみたい。安心して寝ていてほしい。

夜遅くになって、また圭さんが発熱した。38℃ある。私は明日も休んだ方が良いといった。翌朝、37℃の熱があったので、もう1日休むことになった。圭さんも2日間の休養ですっかり元気を回復した。圭さんは一人のころは風邪を引くと大変だったけど、私が身の回りの世話をしてくれたので助かったと言ってくれた。元気になってくれて本当によかった。

【4月30日(土)】
圭さんが部屋でパソコンを使って何か計算している。そして、月末に4月の収支をまとめたら、ほとんど一人のときの生活費と出費は同じくらいと教えてくれた。私がお弁当や夕食を作るので、外食が少なくなったのと、私が夕食を食べずに待っていると思うと、同僚と飲んで帰ることも少なくなったからとのこと。それに私がやりくり上手と褒めてくれた。これなら家事をまかせて安心とも言ってくれた。それを聞いて、圭さんのお荷物にならなくて良かったと安心した。

このごろ週末の金曜日と土曜日の夜は布団に入れてもらっている。ただ、うしろからそっと腕をまわして抱いて寝てくれるだけだけど、その腕も私に触れるか触れないくらい。私はその腕にしがみつくけどそれは良いみたい。圭さんの両手は私のお腹の前で恋人つなぎのように結んでいる。私が腕の中から出ないようにしている?いや圭さんのことだから夜中に無意識に私に触れないようにと考えてのことだと思う。ほんとうに慎重と言うか真面目過ぎる。私はいつでも何をされても良いと思っているのに。布団の中で私の身体には指一本触れてこない。頭をなでてくれることはあるけど、それは圭さんとしては許容範囲に入っているみたい。

うしろから抱いてもらっているので、お尻を突き出してみたことがあるけど、圭さんのあそこが固くなっているのが分かった。圭さんは慌ててすぐ腰を引いた。偶然と思ったみたい。もう一度それとなくお尻を突き出すと、やっぱり腰を引く。私がわざとしているのに気付いたみたいで「おとなしく寝ていて、そうでないなら自分の布団で寝て」とやんわりとさとす。「ごめんなさい。もうしませんから、このままでお願いします」というと「いいけど」とまんざらでもなさそうだった。相当に我慢している。私をだいじにしてくれていると思うと嬉しかった。

でも圭さんが私を後ろから腕をまわして組んでいるのは寝入る時だけで、寝入ってしまうと、あとは自然に手を放すみたい。それで夜中は二人離れたりくっついたりして寝ているみたい。私は夜中に目が覚めると圭さんに抱きつくことにしている。それでも圭さんは無意識で私を抱きしめたりはしない。眠っている時でも真面目過ぎる。

一度だけだけど、夜中に仰向けに寝ている圭さんのお腹の上にうつ向けに抱きついてみた。圭さんの胸は意外と広くてお腹が柔らかくて温かい。あそこも柔らかいので全く気が付いていないみたい。落ちないようにしがみついていると心地よくて眠ってしまった。圭さんのうめき声で目が覚めた。苦しそうにしているので、慌てて横に滑り降りた。そして、大丈夫と声をかけた。圭さんは怖い夢を見たといった。どんな夢と聞くと何かの下敷きになっているんだけど、苦しくてと言った。圭さんに悪いと思いそれからはしていない。

圭さんはいびきをかく。特に金曜日の夜。始めはなんだろうと驚いて目が覚めた。いびきだった。でも圭さんのいびきをうるさいとは思わなかった。疲れているんだ、私のために働いてくれて。そう思うと、規則正しい心地よい響きになって眠ってしまう。朝、「圭さんっていびきかくのね、でもいやじゃない」と言ったら、「美香ちゃんもいびきかくことあるよ」と言われた。気が付かなかった。そして、「美香ちゃんがいびきをかくと可愛くてしょうがない、それを聞いていると子守歌みたいですぐに眠ってしまうので、楽しみだ」と言われた。恥ずかしかったけど、私と同じ思いをしてくれていて嬉しかった。

圭さんは寝言もいう。夜中に「だめだ、だめ」というので目が覚めた。私は何もしていないのにと思って圭さんを見ると、顔をゆがませて眠っている。私が抱いて下さいと迫っている夢でも見ているのかもしれない。それで約束した18歳になるまでは絶対に言うのはやめようと思った。寝言の話をいって、謝ると、私も「いや、いや」と顔をゆがませて寝言を言うことがあると教えてくれた。そのときは、そっと頭をなでていると言われた。ありがとう。

一緒に寝ていると思いがけないこともある。圭さんは結構寝相が悪い。特に疲れていていびきをかく時。手が私の胸に乗ったことがあったし、私の大事なところに膝が当ったことも手が当ったこともあった。驚いて目が覚めて圭さんの顔を見たけど、絶対にわざとじゃない、偶然だった。でもそんなことはめったにないし、まして起きている時は絶対にないので、そのままにして眠った。ただ、朝になって目が覚めると跡形もなかった。圭さんは気が付いたのかすぐに離したのだと思う。夜中に一度だけ抱きしめられたことがあった。うれしかったのでそのまま抱かれていた。朝になると、圭さんは背中を向けて、布団を抱いていた。あれは夢だったかもしれないけど。

それから、私も寝相が良い方ではないみたい。明け方、寒いので目が覚めたら、布団からはみ出ていて、しかもあられもない姿で寝ているのに気が付いた。脚を広げて、トレーナーの上が捲れてお臍が出ている。よだれをたらしている。ほとんど同時に圭さんも目が覚めたみたいで、私の寝相を直してくれた。私は恥ずかしいので眠ったふりをしていた。捲れあがったトレーナーを下げてくれて、広げた脚を揃えて布団をかけてくれた。脚を布団の中に入れるためなら触って良いみたい。まるで父親が幼い娘の寝相を直すみたいで分かりやすい。それから、しばらく座っているみたいだったので、目をあけると私を覗き込んでいる圭さんと目が合った。

その眼差しが忘れられない。とっても優しい目だった。あんなに優しい目を見たのは初めてだった。圭さんは私が突然目を開けたので驚いて「ごめん、可愛くて見とれていた」といって寝転んで背を向けた。圭さんにあんな目で見つめられていたと思うと、それだけで私は十分幸せだった。圭さんに抱いてもらったら幸せ過ぎてきっと大声で泣いてしまうだろう。いまでもこうなのだから。