「……ううっ………」

視界が滲んで、あとからあとから、涙が盛り上がる。

喉がぐっと詰まって痛い。
あたしは、声を押し殺してひたすら泣いた。



どうして? いつから?


いつから、璃久は、他の誰かを、

あたし以外の誰かを好きだったの?



他に好きな人がいるのに、ずっとあたしと会ってたの?

それで、その人を選んだの?



あたしは、もう、いらないの?




……あたし、何にも気づいてなかった。

璃久が視線で追いかけてたかもしれない先も、一緒にいるときに表情を曇らせていたかもしれないことも。


今日だって、「話がある」って璃久がいつになく真剣な顔をしていたのに、別れ話なんて微塵も想像してなかった。
そんなことは、あたしたちには無縁なことだって、勝手に思っていた。



「……ほんとに、馬鹿みたいじゃん……」