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それからどんなふうに帰ってきたかは、あんまり覚えていない。
気づいたら自分の家の前に立っていた。



「……ただいま、」

「あら彩奈おかえりー」


リビングの奥からお母さんの声がする。
あたしに今日何があったなんて知る由もない。いつも通りののほほんとした声だ。


いつもと違うことを悟られたくない。
お母さんに何か話しかけられる前に、あたしは自分の部屋への階段を上った。





「………………っ、」



でも、部屋の電気をつけた途端、あたしは誰とも会わずにまっすぐ帰ってきたことを、後悔した。
閉めたドアにもたれて、ずるずると座り込む。


今まで意識せず飾って、増えていった璃久との写真。
もらったプレゼント。手紙。
璃久に借りた本やCDも、そのまま。




もうずっと見慣れた景色だったはずのあたしと璃久の4年間が、ひとつひとつ鮮やかに目の前にあった。