あたしと彼、……杉原璃久(スギハラリク)は中学の頃から4年間付き合ってきた。




入学してすぐの頃から、璃久は有名人だった。


カッコよくて頭が良くて、背が高い。
所属しているサッカー部では1年ながらにレギュラーだった。
何より明るくて爽やかで、いつでも人の輪の中心に居るような男の子。

そんな彼に憧れていたけれど、とにかく平々凡々なあたしは遠巻きに眺めている程度で。


だけど2年に上がって同じ委員会に入れたことがきっかけで、少しずつ仲良くなって、ある日璃久から告白された。


璃久はほんとにモテたから、あたしが1番信じられなかったし、当然やっかみみたいなものも多少はあったけど、

そんなの全部忘れられるくらい、それからの毎日は幸せで充実していた。


2人での下校も、行事も、サッカー部の応援も、たまの休日デートも、全部楽しかった。
璃久に釣り合う自分になりたくて、勉強も頑張って、同じ高校にも合格出来た。


高校でだって璃久を好きになる子はたくさんいたけど、
璃久はそんなの興味ないよ、とよく笑ってくれた。

璃久があたしの名前を呼ぶたびに、璃久が好きだと言ってくれるたびに、あたしはここにいていいよって、言われてる気がしてた。



あたしの毎日は、あたしの青春の全部は、璃久だった。