「ちょっと彩奈ー?何大声出して……」
……や、やばい。お母さんだ。
お母さんが階段を上がってくる気配がする。
「おまえ声デカすぎなんだよ……」
「ど、どうしようこんなの見たらお母さん卒倒する……!!!あんたどっか消えてよ……!!!」
ていうか、なんでそんな落ち着いてんのよ!!!
「……彩奈?」
ガチャッ。
お母さんがあたしの部屋のドアを開けた。
絶叫して腰を抜かして震えているあたしと、
目の前で宙を浮遊する、不法侵入者。
……終わった…………。
「あんた、何してんの?どうしたの?」
「え、どうしたのってコイツが……」
「コイツ?誰のこと?」
え?見えて、ない……?
「言ったろ。
おまえ以外のやつ、誰も俺のこと見えないし、俺の声も聞こえないんだよ。」
う、そ……。ほんとに?
「彩奈?」
