「はぁ、まだそんなことを・・・呆れますね。
まだ、過去に縋っているのですか?那智。」



『呼ぶな!』



“那智が次の頭首ですよ。期待しています”
“那智の代わりが見つかりました。” 



ドロドロとした黒い何かがココロを蝕んでいく。
キモチワルイ。



床がゆがんでいく。
じっと立っているだけなのに視界がふにゃりと歪む。
立っていることがだんだん苦しくて目をつむって座り込む。



「あの時もあなたはそうやっていたんでしょう?役立たず。」



『はぁ、はっ・・っうる、せ』



早くこの場から離れたいのにできない。
自分の意志に体が反応できない。



「那智、落ち着いて。
ゆっくり息吸って。」



ふわりと温かい手に目を覆われて背中越しにゆったりとした声が聞こえた。



『り、ん・・・』