「綺麗になったなー、彩。」




1人の黒髪の青年が男が、墓石の上に座り先程までそこにいた少女を見送った。

青年の体は、陽の光でチカチカと透けている。


ふ、と、青年は自分の足を見る。

そこには、会いに行くのは許さないとでも言うように鎖が “柳瀬家の墓” と掘られている墓石へと繋がっている。

先程、竜也と呼ばれた青年は、足をブラブラと揺するがジャラジャラと鎖は不快な音を奏でるばかりで何も起きない。


「……俺だって、あいてーよ。彩。」

だけど、行けないんだというように目を伏せる。

青年が見ているものは、先程の少女を彷彿させるかのような淡い紫色の花。

それが、隣の草に支えられて。だけど、自分自身も力強く生きている。


もう一度風が吹き、その花が揺れた。



会いたい。

だけど

会えない。



会いたい。話したい。触れたい。



だけど。


今は無理だ。

だから、

出来る時まで、待とう。



少女と、青年は、笑っていた。


息を吸って、楽しそうに。





次会える時は、また。


『「また来世で。」』





終。