「私は山野くんを送り届けて家にあがったわ
キスをしようとしても無意識に彼の口から貴方の名前ばかり
さや、さやって
どんな漢字を書くかもわからない「さや」さんに嫉妬した
ムカついたから朝まで居座って貴女が来るの待ってたの
朝に貴女が来ることも嬉しそうに話してたから
貴女が来るまえに服を脱いでベッドに入ったの
貴女と間違えてでも抱き締めてくれたらまだ良かった
完敗よ
キスどころか指一本触れてくれなかった
貴女が出て行ったあとも私の体を見ることもなく服を着るように促されて帰されたわ
もー、女としての自信なくなったわよ
ほんと、酷い男よね!」


彼女は自嘲気味に笑いながらもスッキリした様だった


「別れたのよね?」

「はい」

「貴女にずっと謝りたかった」

「謝らないで下さい」

「え?」

「確かに別れるきっかけになったかもしれません
でも、別れの理由ではありません
あのまま付き合っていても別れていたと思います」


好きだった
ショックだった
でも、優しい彼は私を甘やかせるから
自分は疲れていても私の事を気にしてしまうから………



「そう…………
山野くんきっとまだ貴方の事を好きだと思うわよ
あれから誰とも付き合ってないみたいだし
この前少しだけ日本に戻ってきたとき、あのときの様な穏やかな顔してなかった
あなたは?」


私?
私は……………


半年の間、思い出さない日はなかった